* さ る か に 合 戦 *

絵 本作 者出版社あ ら す じ
さるかに
文/
木暮正夫 

絵/
赤星亮衛
第一法規 ・あるところにかにが住んでいた。かにはある日、わら束を担いで町へ売りに行き、わらを売った金で赤い柿の実をひとつ買って帰った。
・その柿があまりに美味しかったので、かには早速その種を植え、水や肥やしをやって「はよう芽を出せ 柿の種。出さぬとはさみでほじくるぞ。」と言った。
・柿の種はほじくり出されてはかなわんと、たちまち芽を出した。
・喜んだかには「はよう木になれ。」「はよう実がなれ。」とはさみを振り振り言うので、柿の芽や柿の木はたちまち大きくなって、どっさり実をつけた。
・かには喜んで木に登ろうとしたが、横ばいなのでずり落ちてしまって登れない。
・この様子を山の上から眺めていた猿が柿の実を食べようと山から下りてきた。
・「かにどん。柿はおいらがもいでやる。」と、猿はするする木に登ると、赤い実をもいでは喰い、かににはよこさなかった。
・かにが欲しがっても知らん顔で食べ続け、かにが催促すると青い柿の実を投げつけた。
・こうらに当てられたかには、つぶされて死んでしまう。
・猿が満足して山へ帰った後、かにのこうらの下から こがに がずくずく這い出してきた。
・こがに達は大きくなると、川の傍に畑を作ってきびを蒔き、きび団子を作った。
・きび団子をひとつずつ食べて腹ごしらえしたかに達はきび団子を腰に付けて、揃って親の仇に出掛けた。
・かに達が歩いて行くとぱんぱん栗が転がって来て、「何処へ行くのか」「腰に付けている物は何か」と尋ねた。
・猿のばんばへ敵討ちに行くこと。腰に付けているのはきび団子で ほっぺたが落ちるくらい、舌が抜けるくらい美味いと応える。
・栗は、「きび団子をひとつ貰って手助けしよう」と提案し、仲間になる。
・その後、たたみ刺し針・菜切り包丁・米つき臼・牛の糞と出会い、同様にきび団子をひとつ分けて 皆、仲間になった。
・猿のばんばに着いたが猿は留守だったので、めいめい持ち場について猿の帰りを待っっていた。
・そんな事ちっとも知らない猿が「おお さむさむ」と駆け込んで来て囲炉裏の火をかき出すと、囲炉裏の中で待ち構えていた栗がばちーん!と跳ねて猿のおでこに飛びついた。
・「あちちちっ」と跳び上がって降りて来る猿のお尻にわら座布団で待ち構えていた たたみ刺し針がしくっと刺した。
・猿が火傷にみそを塗ろうとして味噌桶に手を突っ込むとそこで待ち構えていた菜切り包丁にじゃきっと切られた。
・手の傷を洗おうと水がめに手を突っ込むと、そこにはかに達が待ち構えていた。
・大勢のかににはさみ付かれた猿が土間から飛び出そうとしたが、そこには牛の糞が寝そべっていたので猿はずりっと足を取られた。
・そこへ米つき臼が戸の上から飛び降りて、猿はぴしゃんとひしゃげてつぶされてしまった。
 まあみ評 日本の民話絵本として出版されている20冊のうちの Dさるかに(新潟県)として小暮正夫氏が書かれたのだが、編集は、鳥越信・松谷美代子の両氏が、日本民話の会が編集協力されている。
いきなり、かにがわら束を担いで市へ売りに出掛けるところからお話しは始まる。かにが商売をするさるかに合戦は知らなかったので驚いた。
わらを売ったお金で真っ赤な柿の実を買って帰るがその柿のあまりの美味しさに柿を育てることを思い付く。
かにが早く芽を出せ〜 とせっせと育てる場面はどの絵本も違いは見られなようだ。
猿に青い実をぶつけられて死んでしまったかにの甲羅の下からずくずく這い出して来た子がに達が、力を合わせてきび団子を作る場面が微笑ましい。
助っ人になる者も栗・たたみ刺し針・菜切り庖丁・米搗き臼・牛の糞と、「ちょっと変わっているな。」と思った方は多いのではないだろうか?!
最後に猿が皆に懲らしめられる場面が(特に味噌桶に隠れていた菜切り庖丁に手を来たれて血が飛び散るシーンなど。)ダイナミックに描かれており、ちょっぴり可愛そうになって来る。
かにむかし
文/
木下順二 

絵/
清水昆 
岩波書店 ・昔々、かにが潮汲みをしようと浜辺に出ると、砂の上に一粒の柿の種が落ちていた。
・かには、柿が大好きだったので 家の庭に蒔いてみよう。 と思い、それを拾って来て庭の隅に撒き 毎日せっせと世話をした。
・そして「はよう 芽を出せ柿の種、出さんとはさみでほじり出すぞ。」と言っていたので、柿の種はほじり出されてはかなわんと思ったのか、やがて 小さな芽を出した。
・また、せっせと世話をしては「はよう 木になれ、柿の芽、ならんとはさみでつまみ切るぞ。」と言っていると、柿の芽はつまみ切られてはかなわんと思ったのか、やがて大きな木になった。
・せっせと世話をし「はよう 実をならかせ、柿の木、ならかさんとはさみでぶった切るぞ。」と言っていると、柿の木はぶった切られてはかなわんと思ったに違いない。やがて、沢山の実を付けた。
・今度こそと「はよう 熟れろ、柿の実、熟れんとはさみでもぎり切るぞ。」と言っていると柿の実は、一斉に真っ赤に熟れ出した が 中には青いところが残っている柿もあった。
・かには大喜びで、柿の木にがしゃがしゃと這い登っては落ち、がしゃがしゃと這い登っては落ちていた。
・その様子を山の上から見ていた一匹の猿が来て、何をしているのか聞いてきた。
・かにが やっと柿の実が熟れたので這い登って もぎたいのに足がいうことを聞かない と泡を噴きながら答えると、「よし、そんなら おらが、もいでやろうか。」と言うが早いか、柿の木の天辺で真っ赤に熟れた大きな柿を次々に食い始めた。
・かにはびっくりして猿を怒ったが猿は聞こえないような顔で次々美味そうな柿の実を食べているので「やあい、いっちょぐらい、こら もいでよこさんか、おおい」と言うと猿は、まだ青い大きな柿をもいで投げつけた。
・すると、その柿はかにの甲羅に当たってかにはぺしゃりとつぶれてしまった。
・つぶれたかにの甲羅の下からは、かにの子どもが ずくずく ずぐずぐ と沢山這い出してきた。
・子ども達は少し大きくなると、きびを撒き、きびが実ると ある日、そのきびできびだ団子を作った。そして、皆ひとつずつ きび団子を腰に付けて、皆揃って親がにの仇討ちに出掛ける事になった。
・大勢の子がにが歩いて行くとぱんぱんぐりが「かにどん、どこへ行く。」と聞いてきた。「猿のばんばへ仇討ちに」「腰に付けとるのは、そら なんだ」日本一のきび団子」「いっちょ くだはり、仲間になろう」「仲間になるならやろうたい」
・ぱんぱんぐりはきび団子をいっちょ貰って仲間になった。
・かにと栗が進んで行くと、はちがぶんぶん飛んで来て、同様のやり取りの後、はちもきび団子を貰って仲間になった。
・揃って行くと、牛の糞が座っていた。また、同じくきび団子を貰って仲間になった。
・今度は はぜ棒(稲を刈って干す時に使う棒)が、最後に 石臼が、きび団子を貰って仲間になり、皆で猿のばんばに近付いた。
・丁度、猿は留守だったので 栗は囲炉裏の中に潜り込み、子がに達は、土間にあった大きな水桶の中に沈んだ。
・はちは、戸口の上の鴨居の所に止まり、牛の糞は戸口の敷居の外に座り、石臼ははぜ棒に突き上げてもらい軒下の牛の糞の脇の所で、はぜ棒に支えられて立っていた。
・その状態で、皆黙って 猿の帰りを待っていた。
・すると、猿が「ああ、さむか さむか」と言いながら帰って来て、囲炉裏で背中をあぶっていると、栗がはじけて火傷をし、慌てて水桶に手を突っ込んだところ、子がに達に体中はさまれた。
・びっくりした猿が戸口の所へ逃げ出すと、上からはちが頭を刺した。
・慌てた猿は、戸口で座っていた牛の糞で滑り、はぜ棒が頭をごつんとぶった時には大きな石臼が落ちてきて、さるはひしゃげてしまった。
 まあみ評 表紙はカラーだが、中は全て二色刷りである。それが、かえって昔話とぴったりとマッチし、良い味を出していると思う。
かにが浜辺の砂の上に落ちたいた一粒の柿の種を拾う所からお話が始まる、また 方言から、九州地方の海の近くで語られて来たように思う。
この子がに達は、きびを育ててきび団子を持ってさるのばんばへ出掛けて行く。
そこへ、栗・はち・牛の糞・はぜ棒・石臼が来て、ももたろうの時の様に、皆、きび団子を貰っては、仲間になる。
やや大型の絵本で、読み聞かせには丁度良いと思うのだが、猿が囲炉裏で栗がはじけ 〜 はちに刺される場面が、見開きで絵のみのページでになっており、次のページをめくると前の場面のお話が書かれているため、読み聞かせる際はかなり練習が必要だと思う。
さるかに
文/
松谷
 みよ子 

絵/
滝平二郎 
岩崎書店 ・昔、かにと猿が遊びに出掛けた。
・すると かにが落ちていたおむすびを見つけ、悔しくてたまらないさるがノミ取りまなこでみつけたものは、柿の種ひとつだった。
・猿はかにに、おむすびと柿の種を取り替えてくれ と言い、かにに やだ。そんなつまらんもの と断られるが、この柿の種を地面に撒けば、柿の実がざらんざらんとなって柿の実の食い放題…と見せびらかせた。
・かにはころっと騙されて、柿の種とおむすびを取り替えた。
・猿は、しめた と急いでおむすびを食ってしまい、かには柿の種を大事に家に持って帰ると、地面に撒いて育てた。
・毎日、水や肥やしをやりながら、はよう 芽を出せ 柿の種。芽を出さんとほじくるぞ。と歌ったので、柿の種はほじくられちゃかなわんと思い 芽を出した。
・柿の芽が出ると今度は、毎日水や肥やしをやりながら、大きくならんとはさみで切るぞ。と歌ったので、柿の芽は一生懸命大きくなった。
・柿の木が大きくなったので、かには もう一息と思い毎日、はよう 実がなれ 赤くなれ。ならんと根元をぶっ切るぞ。と言いながら水や肥やしをやった。
・柿は、ぶっ切られちゃたまらんと思い、柿の実をざらんざらんとならせた。柿の実は日が経つにつれて真っ赤に熟れて来た。
・猿のばんばで昼寝ばかりしていた猿は、ある日 目を覚まして、かにの家で真っ赤な柿の実がすずなりになっているのをみつけると、食べに山から飛んで下りて来た。
・かには、柿の実をどうして取れば良いものかと、横ばいで這い登ろうとしては滑り落ち、ぶくぶく泡を噴いて困り果てていた。
・そこへ猿が駆け込んで来て、やあとも言わず柿の木にするすると登ると 柿の実をむしゃむしゃ食い出した。
・かには精一杯仰向いていたが、猿は木に腰を据え 取っては食い、美味そうな汁をぽたぽた垂らしながら柿にかぶり付いている。
・そして、かにが「さるどん おらにも取っておくれ。」と頼んだが「この柿はな、元はと言えば おらの拾った柿の種から出来たもんじゃ。それなら おらのもんだ。」とひとつもよこさなかった。
・かには腹を立て、「何を言うか、その柿はな おらが水くれて・・・・・」と、木の周りをがしゃがしゃと回って叫んだ。
・しかし、猿は「ふん そうか、なら ひとつやるわ。」と言うなり、まだ青い柿の実を引きちぎり かにめがけて叩きつけ、かにはつぶれて死んでしまった。
・すると、その腹からじゅくじゅくと子がにが沢山生まれて来たが、こんな風な有り様なので皆で泣いていた。
・子がにが泣いているのを聞き付けてくまんばちがやって来て、何で泣いているのか聞いた。
・「山のさるめに母さんがにがつぶされた。泣かずにゃおれん。」と、泣いて答えた。
・そこへ栗が来て同じやり取りがあり、牛の糞が来て、また 同じ事を聞き、同じ返事をしたが、その時は もう泣いてはいなかった。
・こうして、子がにの中でも一番大きい 兄の子がにが「こうしてはおれん。さあ、兄弟。猿のばんばへ仇討ちに行くべ。」
・それを聞いた くまんばちと栗と牛の糞は「ようし、おら達も手助けすっど。」と声を揃えて言い、そこへ、でんでんと地響きをさせて「おらも 手助けすっどう。」と石臼がやって来た。
・そうして、皆で猿のばんばへ繰り出した。
・猿のばんばに着くと、猿はおらずに囲炉裏の火だけがとろとろと燃えていたので、皆、それぞれの役を決めた。
・栗は 囲炉裏の火の傍に潜り込み、くまんばちは 味噌桶の中に隠れ、子がには 水桶の中へぞろぞろ入り込み、牛の糞は 土間の入り口にぺたりと座った。そして、石臼は 屋根に登って控えた。
・日暮れ方、猿は「ああ 冷たい。ああ 冷たい。」等と言いながら帰って来て、囲炉裏の傍にしゃがみこんで尻をあぶろうとした。
・途端に、栗が跳ねて 猿の尻に飛びついた。猿は、あちちち と尻を押さえて跳ね回り、火傷に味噌を付けようと味噌桶の蓋を取ると、今度はくまんばちが猿の肩をずぶんと刺した。
・猿は、傷を水で冷やそうと水桶の所に跳んで行くと、待ち構えていた子がに達ががしゃがしゃと出て来て、猿の身体に取り付いた。
・猿は、川に逃げて行こうと表へ駆け出したが、表で座っていた牛の糞に滑って転び、いててて と起き上がろうとした所を屋根から石臼が転げ落ちてどしんと乗った。
・猿は、平たくのびてしまった。
 まあみ評 この絵本は、さるとかにが遊びに出掛けて、かにがおむすびを拾うことからお話が始まる。私はそれをすごく懐かしく感じた。
かにがおむすびを拾い さるは柿の種しか拾えなかったのに、うまく言ってまんまと柿の種とおむすびを交換したさる。かにが柿の種を大事に育て、立派な実を実らせるが横這いでは取ることが出来ない。そこへ、いつも昼寝ばかりしているさるが柿の実を目ざとく みつけて取りに来る。
自分は赤く熟れた美味しい柿ばかり食べて、かににはまだ青くかたい実を投げつけて死なせてしまう。かにから生まれて来る子がににの表情が実に生き生きとしており、思わず「よしよし、もう 泣かないで!」と声を掛けたくなる。
さるのばんばへ退治に行くのは、栗とはちと牛の糞と石臼だが、これも よくご存知の登場人物ではないだろうか?!
版画家の滝平二郎さんの切り絵が素晴らしい。また、松谷みよ子さんのお話しも読みやすく、分かりやすく、幅広い年齢で受け入れられる絵本だと思う。
さるかにばなし
文/
西郷竹彦 

絵/
福田庄助 
ポプラ社 ・昔、昔そのまた昔、ずうっと昔のこと。波打ち寄せる佐渡島のとある磯浜に貧乏な百姓のかにどんが住んでいた。
・浜辺に出ては塩水を汲み、大きな釜で煮詰めて塩を作って暮らしていた。
・ある日、かにどんは波打ち際で大きなにぎりめしを拾って 持ち帰ろうとすると、山の上から見ていた赤っ面の猿の奴が自分が食いかけた柿の種をひとつ握って跳んで来た。
・そして、「柿の種をくれてやる。そのにぎりめしをこっちへよこせ。」といきなりにぎりめしをひったくるとむしゃむしゃと食べてしまった。
・かにどんは柿の種を持ち帰ると、庭の隅っこに植えてやり 毎日、水をかけたり 肥やしをやったりしながら「はよう 芽を出せ 柿の種。出さぬとはさみでほじくるぞ。」と言っていた。
・柿の種はほじくられてはかなわんと思い、ちっこい芽を出した。
・今度は、またせっせと世話をしながら「はよう 木になれ 柿の種。ならぬとはさみで摘み切るぞ。」と言っていたので、柿の種は摘み切られてはかなわんと、見上げるような大きな木になった。
・かにどんは、あと一息と「はよう 実がなれ 柿の種。ならぬとはさみでぶっ切るぞ。」と言いながら水や肥やしをやったので、ぶっ切られてはかなわんと、真っ赤に熟れた柿の実をざらんざらんとならせた。
・喜んだかにどんだったが かにの横這いでは登れず、がしゃがしゃと這い上がってはずらずらっと落ちてしまう。
・すると、それを見ていた猿のやつは馬鹿にしながら山から降りて来て、柿の木に駆け上がると美味そうに熟れた柿をちぎってはかじり始めた。
・見上げて待っていたかにどんだったが、猿は全然よこさないので「おらの柿の実、おらにもちぎって投げてくれぃ。」と言った。
・猿は、赤い顔を益々赤くして「にぎりめしと取っかえた柿の種は一粒。その一粒が木になって成った柿の実までみんなくれてやるとは言わなんだぞ。だが、そんなに欲しけりゃ、この柿の実 お前にくれてやらぁ。」と青い柿をもぎとってかにどんめがけてぶっつけた。
・青柿をぶつけられたかにどんは甲羅がつぶれ、死んでしまった。
・ところが、つぶれた親がにの甲羅の下からずうくずくと沢山の子がにが生まれてきた。
・やがて子がには大きくなると、力を合わせて 山を開き、畑をこしらえ、きびの種を蒔き、きびが実ると刈り入れてきび団子をこしらえた。
・かにの兄弟達はきび団子をそれぞれめいめいの腰に下げ、親がにの仇討ちに猿のばんばへ出掛けて行った。
・かにの兄弟は、青竹に突き刺したむしろばたをばっさばっさと打ち振り、ほら貝高く吹き鳴らしてずわずわと進んで行った。
・すると、山の向こうからいが栗がやって来て、どこへ行くのかと聞いてきた。
・「猿ばんばへ仇討ちに。」「ならば おいらも仲間になろう。」と言い、いが栗はきび団子を分けてもらい 仲間に入れてもらった。
・かにの兄弟といが栗が進んで行くと、牛の糞が座り込んでいた。
・どこへ行くのかと聞いてきて、いが栗と同じ問答をし、きび団子を貰って仲間になる。その後、石臼も同様に仲間に入れてもらう。
・そこへ、くまんばちが息せき切って追いかけて来たて、「かにどん かにどん どこへ行く。」と聞いて来て「猿のばんばへ仇討ちに。」と聞くより早くきび団子も貰わずに猿のばんばへ様子を見に行って来た。
・猿のやつは、今は留守だが囲炉裏に鍋が掛かっていたのですぐに帰って来るだろう。とのこと。
・行ってみるとくまんばちの言う通り留守だったので、皆、思い思いの場所で身を隠して 猿の帰りを待つ事にした。
・まず、いが栗は 囲炉裏の灰に潜り込み、かには 土間の水桶の中に這いずり込み、くまんばちは 裏の戸口の影に隠れた。牛の糞は表の戸口の敷居際に座り込み、最後に 大きな石臼が表の戸口の屋根裏に上がり込んだ。
・こうして、さるの帰りを待ち構えていると「ああ、さむさむ。ああ、寒い。」とばたばたと駆け込んできた猿は囲炉裏の縁にしゃがみ込み、火種をほじくり返した。
・途端に隠れていた いが栗が猿の尻にとび付いた。火傷の尻を冷やそうと水桶へ跳んで行った猿を、今度はかにの兄弟達が所構わずはさみ切った。
・裏口から逃げ出そうとする猿をくまんばちが目ん玉、右 左と突き刺した。慌てて、表の戸口に逃げ出した猿だが 牛の糞に滑って転び、石臼が「思い知ったか、覚悟しろ。」と どさり こうと 飛び降りた。
・大きな石臼に押しつぶされ、ものも言わず ぺたーんとひしゃげてしまった。めでたし。めでたし。
 まあみ評 この絵本では『佐渡島』と場所を特定しているのが特徴的だ。
何とも貧乏な百姓のかにが浜辺に出ては大きな釜で塩水を煮詰めて塩を作って暮らしていた、とかにの仕事まで具体的に書かれており面白い。
かにをかにどんと親しみを込めて呼んでいるのに対して、さるは 赤っ面の猿の奴 と他の絵本に比べ、いかにも憎々しげに悪党に仕立て上げている。
死んでしまった親がにと 生まれて来た子がにの色使いが<<生と死>>を見事に対比させている。
このお話しも子がにの兄弟達が力を合わせて畑を耕し、きびの種を蒔いてきび団子を作って持っていく。
途中、きび団子を貰い仲間になるのは栗は栗でも いが栗と、牛の糞、石臼、くまんばちである。くまんばちは、わざわざ追いかけて来て仲間になり、きび団子を貰い忘れて猿のばんばに偵察に行くなどの活躍ぶりだ。
全体的に描写が細かく丁寧だという印象を受けた。
さるとかに
文/
松谷
 みよ子
絵/
瀬川康男 
フレーベル館 ・昔、かにが谷を歩いていると にぎりめしがひとつ落ちていた。かにが喜んでいると そこへ猿がやって来て、「おらはもっと 良いもん持ってら。」と言って柿の種を見せびらかした。
・これを蒔けば どっさり柿が成るぞ。と 猿に言われ、かにはころっと騙されてにぎりめしと柿の種を取り替えてしまった。
・かには家に帰ると柿の種を蒔き、毎日水を掛けたり肥やしをやったりしながら「早く芽を出せ、柿の種。芽を出さんとほじくるぞ。」と歌った。柿の種は ほじくられてはかなわん、と慌てて芽を出した。
・かには喜んで、また世話をしながら「大きくならんと はさみで切るぞ。」と歌ったので、柿の芽は 切られてはかなわん、とずんずん大きくなった。
> ・かにはもう一息と「早く実が成れ、赤くなれ。ならんと根元をぶっ切るぞ。」と歌いながら、水をやったり 肥やしをやったりして育てると、柿は ぶっ切られてはかなわん、と柿の実をざらんざらんと成らせた。
・柿の実は、日が経つにつれて赤く熟れて来たが どうしても取れない。かには、木に登ろうとしてはずり落ち、泡を噴いて頑張っていた。
・猿は 山の上で昼寝ばかりしていたのだが、ある日 目を覚まし、かにの家の木に真っ赤な柿が沢山成っているのをみつけると、柿の実を食べに山から駆け下りた。
・そして、かにが登っては落ちている所に挨拶もせず するすると登ると真っ赤な柿を取っては食べ、取っては食べた。
・かには猿に「おらにもおくれ。」と頼んだが「元はと言えば、おらの拾った柿の種から出来たもんだ。そんなら おらのもんだ。」とひとつもよこさなかった。
・かにがあぶくを噴き噴き怒ると、さるは「そんならひとつやるわ。」と言うなり、青い柿の実を引きちぎって かにめがけて叩き付けたので、かにはつぶれて 死んでしまった。。
・すると、かにのお腹の中から、じゅくじゅくと子がにが生まれて来た。が、生まれてみたらお母さんがにが死んでいるので 皆おうおう泣いた。
・子がにの泣き声を聞き付けた 大きなくまんばちがやって来て 泣いている訳を尋ね、子がにはおうおう泣いて説明した。
・するとそこへ つぶっくリが転げて来て 泣いている訳を尋ねた。子がには泣き泣き説明した。
・そこへ ぺたりぺたりと 牛の糞がやって来て なぜ泣くのかと尋ね、子がには訳を話したが、もう泣いてはいなかった。
・そして、一番大きい子がにがしゃんとして「泣いてはいられない。さあ兄弟、猿の棲み家へ仇討ちに行くべ。」言うので、子がに達は「おう!」と一斉に小さなはさみを振り上げ、それを見た くまんばちもつぶっくりも牛の糞も、声を揃えて手助けをすると言った。
・すると、そこへ地響きをさせて自分も手助けをすると臼がやって来た。
・こうして、皆 揃って猿の棲み家へ押し寄せたが、猿は居なくて 囲炉裏の火だけが燃えていた。
・そこで、皆 自分の役を決め、つぶっくりが囲炉裏の火のそばに潜り込み、くまんばちは 味噌桶の中に、子がに達は水瓶の中へ入った。牛の糞は土間の入り口にべったり座り、臼は屋根に登って控えていた。
・やがて日が暮れ、猿が「おお、さむさむ さむ。」と帰って来ると、囲炉裏端にしゃがんで 尻をあぶろうとした。
・その途端、真っ赤に焼けたつぶっくりが ぱあん と猿の尻に跳び付いた。
・あちちちち、と猿は尻を押さえて跳ね回り、火傷に味噌を付けようと味噌桶の所へ行き、隠れていたくまんばちに肩を刺された。
・いたたたた、と刺された所を水で冷やそうと水瓶の所へ行くと、待ち構えていた子がに達が一斉に猿の体に取り付いた。
・猿が表に跳び出した途端、戸口の牛の糞に滑ってひっくり返り、その隙に子がに達は猿から離れた。
・猿が目を回してじたばたしている所へ ずでえん と、屋根の上から臼が飛び降りたので 猿は平たく伸びてしまった。
 まあみ評 この絵本は、講談社(1970年刊)『さるかに』を再構成したものと注釈にある。
このお話しでは、天気の良い日にかにが谷でにぎりめしを拾うところから始まる。
助っ人として登場するのは、くまんばち・つぶっくり・牛の糞・臼 で展開もごく一般的だと思う。
絵が大胆、かつ細い線で細かく描写もされていて遠目も効く。猿が、次々と出て来る 栗や蜂やかに達に懲らしめられる場面が、躍動感にあふれていて素晴らしい。
文も共通語で丁寧に書かれている。話し言葉は 方言だが短いやり取りなので、とても読み聞かせやすいと思う。 
さるとかに
文/
神沢利子 

絵/
赤羽末吉 
 銀河社 ・昔。猿が柿の種を拾い、かにがおむすびを拾ったが、猿は おむすびが食べたくてならない。
・そこで かにに、おむすびは食べてしまえばそれきりだが 柿の種は埋めておくと木になって、美味い柿がどっさりなるから取り換えないか・・・と提案した。
・かには、それなら 取り換えよう、と交換し 柿の種を持ち帰って庭に埋めた。そして「はよう 芽を出せ、柿の種。出さんとはさみでほじくるぞ。」と言いながら、水や肥やしをやって育てた。
・柿の種はほじくられては大変と、慌てて小さな芽を出した。
・かには喜んで「はよう 木になれ、柿の芽。ならんとはさみでちょん切るぞ。」と歌って世話をしたので、柿の芽は ちょん切られては大変と、ぐんぐん大きくなった。
・かには喜んで「はよう 実がなれ、柿の木。ならんとはさみでぶった切るぞ。」と歌ったので、柿の木は ぶった切られては大変と、慌てて枝に実を付けた。
・かには嬉しくてたまらず、夢中で木によじ登ろうとしたが、かにの横這いではしっかり幹につかまる事も出来ず、這い登っては落っこちていた。 ・そこへ、猿のばんばから猿がやって来て、おらが もいでやろう。と木に登るが早いか、赤く熟れた柿の実をぶしゃくしゃと食べ始めた。
・かにはたまらなくなり、猿に 柿の実をよこせと叫んだが 猿はまだ固い青柿を引きちぎり、かにめがけて 投げ付けた。
・柿が甲羅に当たって ぺしゃりとつぶれてしまったかにの腹から、小さな子がにがずくずく ずくずくと後から後から生まれて来た。
・子がにどもは 畑を開いてきびを蒔き、取れたきびできび団子を作った。兄さんがにの呼び掛けに弟がにも賛成し、皆で親の仇討ちに出掛ける事になった。
・そこで 子がにどもは、それぞれきび団子を腰に付け 勢揃いして歩き出した。
・すると くまんばちが飛んで来て「かにどん、どこへ行く。」「猿のばんばへ仇討ちに。」「腰の物は何だ。」「日本一のきび団子。」「ひとつくれたら仲間になろう。」という事で、くまんばちは きび団子を貰って仲間になった。
・子がにどもとくまんばちが進んで行くと、くりが転げて来た。そして、くまんばちと同様の問答をし きび団子を貰って仲間になった。
・皆で進んで行くと、道の真ん中に牛の糞が座っていて行列を見て「かにどん、どこへ行く。」と尋ねた。そして、同様にきび団子を貰って仲間になった。
・こうして、うち揃ってが しゃがしゃ、ぶんぶん、ころころ、ぺたりぺたり 進んで行くと、大きな臼がごろんごろんと地響きを立てて転がって来た。また、同様のやりとりの後 きび団子を貰って仲間になった。
・猿のばんばへ来てみると 猿は出掛けて留守だったので「それっ、この間に。」と、くりは囲炉裏の灰の中に、くまんばちはひしゃくの柄に止まり、牛の糞は戸口の外に座り込み、臼は戸口の軒下によじ登った。
・そして 子がにどもは、水桶の中、むしろの下など どこにでもが しゃがしゃと這いずり込んだ。
・猿は、何も知らずに日暮れ方に山道をひょいひょいと帰って来た。
・「おお、さむ さむ・・・」と猿が囲炉裏にあたろうとすると、火の玉のように熱くなったくりが、ぱあんと猿の顔に跳ね返った。
・猿が火傷を冷やそうと 水桶の所に跳んで行くと、待ち構えていたくまんばちが尻をずくんと刺し、水桶の中から むしろの下から、隠れた場所から一斉に子がにどもが這い出した。
・猿の体中に取り付いてじゃきじゃきと切ったので、猿は戸口の方へ逃げ出した。
・外へ逃げ出した所に牛の糞が座っていたので、つるりと滑って転び、その拍子に子がにどもはさあっと体から離れ落ちた。
・猿の転んだその上に ごろごろずっしんと臼が落っこち、猿はぺしゃんとひしゃげてしまった。
 まあみ評 画面一杯にダイナミックに描かれた 猿やかにの表情が非常に良い。
このお話しでは、生まれた子がにが力を合わせて畑を開き、きびを植え、きび団子を作ってお兄さんがにの指揮のもと親の仇討ちに出掛ける。
蜂・栗・牛の糞・臼の助っ人達は きび団子を貰い、仲間になる。
子がに達が、めいめい好きな所に隠れていて、一斉に這い出して来るのも珍しい。
全体を通じてとても丁寧な言葉で書かれているので、穏やかに ゆったりと読み聞かせるのが良さそうだ。


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