* か ち か ち 山 *

絵 本作 者出版社あ ら す じ
かちかちやま
再話/
小澤俊夫

絵/
赤羽末吉
福音館書店 ・むかし、あるところにじいさまとばあさまがすんでいた。
・ある日、じいさまが山の畑で「一粒の豆千粒になあれ」と豆まきをしていると、切り株に座っていた狸が「じいのまめ片割れになあれ」とはやし立てる。
・怒ったじいさまがくわを投げると、狸に命中。じいさまは狸の足を縛り、担いで帰る。
・じいさまは、ばあさまにあわ餅をついて狸汁を作るように頼んで町へ用足しに出掛ける。
・ばあさまが餅をつき始めると、狸が「手伝うから縄を解いてくれ」としつこく言うので、ばあさまは縄を解いてやる。
・狸は、餅つきを手伝いながらわざとあわをこぼして、拾おうとしたばあさまを杵で打ち殺す。そして、ばあさまの着物を着てばあさまに化ける。
・じいさまが帰ると、ばあさまに化けた狸は、あわ餅と狸汁を勧める。
・じいさまが狸汁がばあさま臭いと気付いたが、狸に言い含められてすっかり汁を食べてしまった。
・食べ終わると「ばあ汁食ったし、あわ餅食った。流しの舌の骨を見ろ」と叫ぶと元の狸になり、山へ逃げて行く。
・じいさまが泣いている所にうさぎがやって来て訳を聞き「仇をとってやる」と言い帰って行った。
・うさぎは、かや山でかやを刈る。そこへ狸がやって来て、冬が早く来るから小屋の屋根をふく為かやが必要だとうさぎから聞き、狸もかやを刈る。
・二人はかやを一杯背負い行き始める。しばらくして、うさぎは火打ち石で狸のかやに火をつける。狸「かちかち言うのは何の音?!」うさぎ「かちかち山のかちかち鳥の鳴き声さ。」
・しばらく行くと、狸の背中でかやがぼうぼう燃え出す。狸「ぼうぼう言うのは何の音?」うさぎ「ぼうぼう山のぼうぼう鳥の鳴き声さ。」
・そのうち、狸の背中に日が広がり、狸は我慢出来なくなって山の奥へ逃げて行った。
・うさぎは今度は唐辛子山へ行き、唐辛子を取り始める。そこへ狸が来て、この前の出来事を怒る。
・しかしうさぎは、そのうさぎと自分は違うとしらばくれ、おまけに火傷には唐辛子嘘を付ければすぐ治ると嘘をつく。
・うさぎが狸の背中の火傷に唐辛子の実をすりつぶしてたっぷり塗りこんだので、狸は痛くてそこらじゅう転げ回り、やっとの思いで山の奥に逃げて行く。
・すこしたって、今度はうさぎは松山へ行き、松の木を切る。そこへ狸が来て、この前の出来事を怒る。
・しかしうさぎは、そのうさぎと自分は違うとしらばくれ、良い天気だから船を作って魚取りに行こうと誘う。
・狸はうさぎに船を作ってくれと頼み、うさぎは自分の船は木で作り、狸の船は土で作ってやる。
・並んで川に漕いで行き、川の真ん中でうさぎが拍子を取って、景気良く船べりを叩くと狸も調子を合わせて叩き始める。
・二人で調子を合わせて船べりを叩くうち、とうとう狸の土の船は崩れて狸もろ共沈んでしまった。
 まあみ評 遠くに山々が連なる畑の中の一軒家。山の畑に仕事に行くおじいさんとそれを見送るおばあさんの姿でお話しが始まる。その情景から、貧しいけれど平和な様子が伺い知れる。
山の畑でおじいさんをはやし立てる狸が、いかにも憎たらしい。そんな狸をおじいさんは 持っていたくわを投げつけて捕らえるのだが、なかなか威勢の良いおじいさんのようだ。
おじいさんに捕らえられたこの狸は、ばあさまを騙して縄を解いてもらった上に わざとあわをこぼし、拾おうとおばあさんがかがんだ隙に杵で打ち殺してしまう。狸は見れば見るほど憎らしく描かれている。
絵は残酷ではないが、おばあさんに化けた狸が狸汁をおじいさんに勧め、食べ終わった途端に言う台詞が何とも恐ろしくて ぞっとする。
W 25cm×H 23cmとやや小振りの絵本だがすっきりとした線で描かれているので20人程を対象とした読み聞かせには十分対応出来ると思う。
かちかちやま
文/
松谷
 みよ子

絵/
瀬川康男
ポプラ社 ・昔ある所にじいさまとばあさまがいて、じいさまは毎日山の畑で働いていた。
・豆をまいても、キビをまいても山の狸に荒らされて泣いていた。
・じいさまが「一粒は千粒に、ふた粒は万粒になれ。」と豆をまくと「一粒は一粒のまま、晩になったらもとなしよ。」と狸が木の根っこに腰掛けてからかう。
・その日は、そのまま家へ帰ったじいさまだが、翌朝早く起きて狸が腰掛けていた木の根っこに松やにを塗っておいた。
・昨日と同様にからかう狸だったが松やにが尻について動けず、とうとうじいさまにつかまってしまう。
・じいさまはたぬきを藤づるでぐるぐる巻きにし、家に帰って軒下に吊るすと、ばあさまに狸汁にするように話して、また山の畑に行ってしまう。
・ばあさまが粉をつき始めると、狸が「手伝うから藤づるをほどいて欲しい」とうるさく言うので、気の良いばあさまはつるをといてしまう。
・ばあさまからつるをといてもらった狸は、粉つきを手伝うから・・・と杵を取るといきなりばあさまをひと叩きして逃げてしまった。
・夕方、じいさまが山の畑から帰るとばあさまが死んでいた。
・じいさまが泣いているとうさぎがやって来て訳を聞き、自分が狸をこらしめてやるから、と慰めた。
・次の日、うさぎが山の奥で「長者の屋根かえだ♪」と歌ってかやを刈っていると、狸が自分も金儲けをしたくて一緒にかやを刈る。
・欲深い狸は「重いから捨てて行く」と言ううさぎの分までかやを貰って、山ほどのかやを背中に背負う。
・身軽になったうさぎは、狸の後ろからかちっ かちっと火打石を鳴らした。
・狸「かっち かっちいうのはなんだべな。」うさぎ「かちかち山のかっちんどりさ。」・・・そのうち、かやに火がつき、ぼうぼう燃え出した。
・狸「ぼうぼういうのはなんだべな。」うさぎ「ぼうぼう山のぼうぼうどりさ。」そう、いうなりうさぎは逃げて行く。
・次の日、うさぎはとうがらし山でとうがらしみそをこしらえていた。
・そこへ狸がやけどしてうんうん言いながらやって来て、うさぎをみつけると歯をむき出して怒る。
・うさぎは「かや山のうさぎのことをとうがらし山のうさぎは知らない」と嘘をつき、騙された狸は火傷に効く良い薬はないかと泣き付く。
・「それはちょうど良い。」と、うさぎは作っていたとうがらしみそを狸の火傷に塗りつけると、逃げて行った。
・ようやく川べりでみそを洗い落とした狸は、うんうんうなりながらうさぎを追いかけて行った。
・木を切るうさぎを見つけて怒鳴りつけたたぬきだが「杉山のうさぎがとうがらし山のうさぎのことなど知らない。」と言われて、また騙される。
・あっさり騙された狸はうさぎに木を切って何をするのかと尋ね、舟を作って川で魚を捕る と聞くと仲間になりたがる。
・うさぎは自分は白いから木の舟を作るが、狸は黒いので黒い泥舟を作るように勧める。
・喜んだ狸は泥舟を作り、ふたりで川に漕ぎ出すと「杉の木舟はどんぶら、泥の舟はじゃっくら」と歌いながら舟端を叩いた。
・とうとう泥舟は崩れだし、狸は泥舟と一緒に沈んでしまった。
 まあみ評 お話が始まり、いきなり ぽろぽろ涙をこぼして泣いているおじいさんが描かれており、ほとほといたずら狸に困り果てている様子が伺える。
登場人物(動物?!)の表情が実によく描かれている。
ショッキングなのは、狸に杵で叩かれたおばあさんが木臼の上でぐったりと死んでいる場面で、おじいさんの悲しみが伝わってくるようだ。
おじいさんを慰めたうさぎが狸を懲らしめるのだが、長者の屋根替えのかやでかやを持って行けば銭が貰える とか、川に舟で魚を捕りに行く と、まんまと狸を騙す。ちょっと、がめつい狸のようだ。しかも、うさぎが杉の舟を歌いながら叩くと、自分も泥の舟を叩くなど、負けん気も強いらしい。 
かちかちやま
文/
川崎洋

絵/
梶山俊夫
フレーベル館 ・ずっと昔、ある山の中にじさまとばさまが住んでいた。
・ある日、じさまが畑でそら豆の種を植えていると、狸がやって来て種をほじくって食べたりしっぽで土を飛ばしたりした。
・じさまが怒ると狸は あかんべーをして、尻を叩いて逃げて行った。
・次の日も狸がやって来て切り株に座り、じさまをからかったが じさまが塗っておいたとりもちでべったりとくっついて離れない。
・じさまは狸を捕まえて縛り上げ、戸口に吊るして「ばさま。今夜は狸汁だ。」と言うと畑仕事に戻って行った。
・ばさまが土間で臼に入れた米をついていると、狸が米をつくのを手伝うから縄を解いてくれと言う。
・「解いたら逃げるだろうに。」とばさまに言われて 米をついたら、また吊るされるから、と返す狸。人の良いばさまは狸の縄を解いてしまった。
・狸はばさまより力持ち。たちまち米をつき終わると、ありがとうと頭を下げたばさまの頭めがけて杵を打ち下ろし、ばさまを殺してしまった。
・それから、どろんどろんひゅーっと呪文をとなえてばさまに化けると じさまの帰りを迎え、狸汁を勧めた。
・じさまが煮えたての狸汁をふうふうふきふき食べていると、ばさまの顔がみるみる狸になって「じさまが ばさま汁食った やーいやい。」と戸口から逃げて行った。
・じさまがおいおい泣いて涙がかれた時、うさぎがやって来てじさまの話しを聞き、「なんてひどい狸だろう。俺が野郎を懲らしめてきちっと仇をとってやる。」
・うさぎは蒲焼を作って山へ持って行くと狸の穴の所に並べた。
・よだれだらだらで ひとくしくれないか、と言う狸に うさぎは焚き木を集めて運んでくれたらみんなあげても良いと答え、狸は引き受ける。
・狸が焚き木を背負って歩く後ろでうさぎが火打ち石をかちかちと打っている。
・「かちかちって音 何だろう?」「かちかち山だからさ。」「ぼうぼうって音 何だろう?」「ぼうぼう山だからさ。」そんなやり取りをしているうちに火が燃え盛り、狸の背中は火事になったしまった。
・あくる日、山でうさぎを見掛けた狸は昨日の事を怒ったが、うさぎはけろっとして「それはまえ山のうさぎ。俺はふじ山の薬売りのうさぎ。火傷に良く効く薬を塗ってあげよう。」と薬を塗ってやった。
・ところが、その薬は実はからしをたっぷり混ぜたもので、狸はぴりぴりしみて 痛くて一晩泣き通した。
・次の日、山でうさぎを見つけた狸は昨日の事を怒ったが、うさぎはふんと言う顔で「それはふじ山のうさぎ。俺はすぎ山のうさぎ。川遊びに行くので一緒に来ないか。」と誘う。
・川岸に うさぎがじさまに頼んで作ってもらった泥の舟と木の舟。うさぎは木の舟に乗り、狸は泥の舟に乗って川へ漕ぎ出した。
・喜んでいた狸だったが、そのうち泥の舟はとけてなくなり、狸は溺れて死んでしまった。
・うさぎはじさまに届けとばかり、大声で「じさまーばさまの仇をとたぞー」と叫んだ。
 まあみ評 絵本のサイズはW 24cm×H 23.5cmとやや小さいが、はっきりとした線で描かれているので遠目にも良いと思う。絵に愛嬌があり、あまり残酷なシーンは描かれていない。
現代口調で語られているため読みやすく、小さい子どもにも理解しやすいと思う。
うさぎが『かばやき』で狸をおびき出す部分は他では見られないし、『かばやき』と交換条件で「焚き木を集めて運んで!」という展開も珍しい。
また、うさぎと狸が乗る舟はうさぎがおじいさんに頼んで作って貰った物だということで、最後にじさまに大声で仇を取ったことを報告するのも 他ではあまりないと思う。
かちかちやま
文/
松谷
 みよ子

絵/
瀬川康男
フレーベル館 ・昔、ある所にじいさまとばあさまが仲良く暮らしていた。じいさまは毎朝、暗いうちから山の畑で働いていた。
・ところが、夜になると悪い狸がやって来て、畑の物を皆食ってしまうので 二人は嘆いていた。
・それでもじいさまは、元気を出して「一粒は千粒になあれ。二粒は万粒になあれ。」と豆を蒔いていると「一粒は一粒のまんまよ。よるになったらすっからかん。」と狸が切り株に腰掛けて馬鹿にしている。
・次の朝、じいさまが畑に行くと畑が掘り返されていたので じいさまは 持った来た松やにを切り株にべったり塗り付けた。そして、いつもの様に畑仕事をしていた。
・すると、いつの間にか 昨日の狸がやって来てじいさまを馬鹿にした。
・じいさまが飛び掛ったので逃げようとした狸だったが、松やにがべったりと尻に付いて動けず、とうとうじいさまに捕まってしまった。
・じいさまは狸を藤づるで縛って家に帰り、今日は狸汁でも食うべ。と言うと また畑に出掛けた。
・ばあさまがとちの実を臼に入れて突き始めると、狸が話し掛けて来て、縄をほどいてくれたら手伝う と言う。
・じいさまに叱られるから…と、しぶるばあさまに 「なあに、また後で縛ってくれれば良い。さあ、手伝ってやるから。」と優しい声言い、ばあさまはころっと騙されて藤づるを解いてしまう。
・すると狸は、ばあさまから杵を取るなり、ばしり と、ばあさまを殴りつけて山へ逃げて行った。
・夕方、じいさまが帰ってみるとばあさまが死んでいる。遠くで狸が「狸汁など誰なるべ。ばばあ汁でも食ってござい。」とはやし立てる声がした。
・じいさまがおうおう泣いていると、うさぎがやって来て訳を聞いて来た。じいさまが話して聞かせると、うさぎも一緒に泣いて「きっと、狸をやっつけてやるから。」とじいさまを慰めた。
・次の日になると、うさぎは山の奥に出掛けた。そうして、あすは長者の屋根替えだ〜 と歌ってかやを刈っていると、狸が聞きつけてやって来た。
・かやを持って行けば金がたんまり貰える、とうさぎから教えられた狸は「おらも仲間に入れてくれろ。」と、うさぎと狸はどしどしかやを刈って山を下った。
・狸は欲張りで、かやを山のように背負った。うさぎはちょっとばかり背負って、後から付いて行ったが 重いから捨てて行く、泣き言を言い、狸は「もってねえ。それなら おらにくろ。」とうさぎの分までかやを担いだ。
・身軽になったうさぎは かっちかっちと火打石を打って、狸のかやに火を点けた。
・「あれ うさぎどん、かちかち言うのは何だべな。」「かちかち山のかっちん鳥が鳴いているのさ。」
・そのうち狸のかやがぼうぼうと燃え出し「うさぎどん、ぼうぼう言うのは何だべな。」と狸に聞かれたうさぎは「なあに、ぼうぼう山のぼうぼう鳥が鳴いているのさ。」と言うと、逃げてしまった。そして、じいさまに悪い狸はやっつけたよと 言った。
・次の日、うさぎがとうがらし山でとうがらし味噌を作っていると、火傷をした狸がやって来て「やあやあ 見つけたぞ。かややまのうさぎめ、よくも おらを火傷させたな。」と言った。
・うさぎは、狸め、生きていたのか と思いながら自分はとうがらし山のうさぎだから何も知る訳が無いとしらを切った。
・狸は、そうだな と思い、うさぎに火傷の薬がないかと尋ねた。
・うさぎは 自分が作っていたとうがらし味噌を火傷の薬だと言って、狸の背中に塗り付けると びくたら やいほい と逃げ出した。
・火傷にとうがらし味噌を塗られた狸は痛いの何の。うんうんうなりながら、うさぎを捜し歩いた。
・そして、杉山で こっちんこっちん 木を切っているうさぎをみつけると狸はうさぎを怒鳴りつけた。
・うさぎはきょとんとして 自分は杉山のうさぎだから何も知る訳が無いとしらを切ると、狸は、また騙されて、うさぎに何を作っているのかと首を突き出した。
・うさぎから、舟を作って 川に浮かべ、魚を捕るのだと聞くと、狸はもう じっとしてはいられず「魚ならおらも大好きだ。仲間に入れてくろ。」と騒ぎ立てた。
・うさぎは、自分は白いので木の舟を作るが 狸は黒いので泥の舟を作ってはどうかと提案し、狸はすっかり喜んで、ぺたぺた 泥をこねて作り始めた。
・いよいよ舟が出来上がると、うさぎと狸は川に舟を浮かべて漕ぎ出した。
・そして、川の真中まで来るとうさぎは 杉の舟はぶんぐら 泥の舟はじゃっくら と船べりを叩いて歌い出し、狸も負けるものかと船べりを叩いた。
・泥の舟は ぱくりと割れて、狸はぶくぶく沈んでしまった。
 まあみ評 この絵本は 講談社『かちかちやま』(1970年刊)を再構成されたものだと注釈にある。
ポプラ社からも同じ作者・画家で出版されており、内容的にも殆ど同じだが、この絵は線が細く繊細で独特の雰囲気が漂っている。
狸が背中に背負ったかやに火を点けられて火に包まれる場面は、狸はもうこれでおしまいかと思わせる程ぼうぼうと燃えている。
うさぎがおじいさんに「悪い狸はやっつけたよ」と言ったり、火傷を負った狸がうさぎの所へ来た時に「狸め、生きていたのか。」と思ったことなどからうさぎの狸に対する憎しみが伺える。
最後、狸が川に沈んで行く場面は一風変わった描かれ方をしていて興味深い。
かちかちやま
文/
岩崎京子

絵/
黒井健
フレーベル館 ・昔、じさまとばあさまがおった。
・ある日、じいさまは畑に豆を蒔いて「一粒蒔けば 四粒になあれ。」と言っていると 狸が来て「一粒蒔けば一粒よ。根っきり、葉っきり、これっきり。」と邪魔ばかりする。
・次の日、じいさまは狸がいつも座る切り株にとりもちを塗って 畑仕事をしていた。すると、また狸が出て来て悪態をつき、逃げようとしたが べったりお尻にとりもちが付いてとうとう捕まってしまった。
・じいさまは土間の梁に狸を吊るし、ばあさまに狸汁を作ってくれるように頼み、狸が何か言っても取り合わないように念を押して 遣り残した仕事をしに行った。
・ばあさまが土間で米をついていると、狸が手伝うから縄を解いてくれ と言う。逃げずに 米をついたら、また吊る下がるから…と言うので、ばあさまは 縄を解いてやった。
・狸は力があるので だあん だあん とすぐにつきあげ、臼を覗き込んだばあさまを杵で叩き殺してしまった。
・そして、狸は ばあさまの着物を着てばあさまに化け、ばあさまの肉を煮て食べてしまった。
・じいさまが帰って来ると 狸はじいさまに『狸汁』を勧め、じいさまが食べ始めると「たぬき汁食うとて、ばんば汁食うた。流しの下の骨を見ろ。」と狸の姿に戻ると 山に逃げて行った。
・じいさまが悲しんでいると、うさぎが どうしたのか とやって来た。じいさまが訳を話すとうさぎは おらが仇を取ってやる と言い、煎り豆を作るとそれを持って山へ行った。
・うさぎが わざと狸穴のそばで芝を刈っていると、匂いを嗅ぎ付けて狸が出て来た。
・狸は、うさぎに煎り豆を少し分けてくれと言い、うさぎは 芝を背負ってくれたら分けてやると言って、狸に芝を背負わす。
・芝を背負った狸が山を下りると うさぎは狸の後ろに回って火打石をかちかちといわせ、何の音かと聞く狸に「ここはかちかち山だど。それで、かちかち いうだ。」と答えた。
・やがて、狸の背中の芝がぼうぼう ばりばり燃え出し、なんだ?なんだ?と聞く狸に「今、ぼうぼう山を通ったとこよ。これからが ばりばり山だ。」と答えた。
・そのうち 熱くてたまらなくなった狸がうさぎに助けを求めた時には、うさぎは もう とっくにいなくなっていた。
・うさぎはじいさまの所に行って、狸の背中に付ける薬を作ってくれと頼んだ。じいさまは頼まれた通りに、からしがこってり入った火傷の薬をこしらえた。
・うさぎは狸の所に行って昨日の事を謝り、お詫びに良く効く薬を持って来たからと 狸の背中にからしを塗ってやった。狸はぴりぴり痛くて一晩中泣いていた。
・うさぎは、今度はじいさまに杉の舟と泥の舟を作ってくれと頼み、じいさまは頼まれた通りに、杉の舟とどべつちの舟を作ってやった。
・また 狸の所へ様子を伺いに来たうさぎは、寝てばかりじゃ気も晴れないだろうと、うさぎは無理矢理 狸を連れ出した。
・「さ、おめえはそっちだ。」と うさぎはさっさと杉の舟に乗り込み、狸は泥舟に乗った。
・うさぎは「杉の舟 つえーん。泥舟 かっきら。」と叫ぶと かいで泥舟を叩いたので泥舟はぱかんと割れて水がしみ込み、ぶくぶくぶくぶく…とうとう狸は、溺れて死んでしまった。
 まあみ評 この絵本も、おばあさんは殺され汁にされて食べられると言うショッキングなものだ。ただ、絵はさ程おどろおどろしくはなく、黒井健さん独特のタッチでむしろ可愛らしく描かれている。
このお話しに出てくるうさぎは、煎った豆を持って狸をおびき出したり、おじいさんに作って貰った からし入りの火傷薬を届けるなど、非常に積極的に狸を懲らしめようとするのが特徴的だ。色々とおじいさんに協力して貰い、あの手この手で自分から狸の穴に出向いて行く。
何度もうさぎに騙され、狸が最後に死んでしまうのはちょっと残酷な気もするが、それは自分のした罪への罰と言う事なのだろう。
かちかちやま
絵・文/
田島征三
三起商行 ・むかしむかし、山奥にじいさまとばあさまが暮らしていた。
・ある日じいさまが山の畑を耕しているとうさぎがやって来て、歌を歌いながらかぶの葉っぱをちょっぴりかじったが、じいさまは「毎日食べにやって来い。」と歌うように言った。
・あくる日、じいさまが山の畑で種をまいていると 今度は狸がやって来て、切り株に腰掛けると 畑のうりをだまってかじり始めた。
・「ひと粒が千粒。ふた粒が万粒。秋になるのを待ちかねる」とじいさまが歌うと、狸は切り株に座っって18個めのうりをかじりながら「ひと粒はひと粒のまんまよ。ふた粒もふた粒のまんまよ。秋にゃ、じいさん ばあさん飢えて死ぬだぁ」と歌って逃げて行った。
・その夜、狸に畑をめちゃめちゃにされたじいさまは がっかりして寝込んでしまったが、ばあさまは山の畑の切り株に松やにをべっとり塗って、「山も畑も切り株も、皆じいさまに味方する。悪い狸は逃げられん。」とじいさまを元気付けた。
・じいさまが畑に行って 粟の種をまきながら歌っていると、いつの間にか狸が切り株の上で「一晩過ぎたら畑は地獄」と笑い転げていた。
・しかし、体中に松やにがくっついて動けなくなり、じいさまは狸をしたづるで縛り上げ家に背負って帰った。
・狸をはりに吊るしたじいさまは、ばあさまに「今夜は狸汁のごちそうじゃ」と言うと、また元気良く畑に出掛けて行った。
・ばあさまが庭でとちのみをついていると、狸が優しい声で ここから降ろしてくれたらその仕事を変わってやる、と言う。
・始めは相手にしなかったばあさまだったが、狸が余りに熱心に言うのでつるを解いてやった。
・すると、狸はばあさまから杵を取り上げ、ばあさまを叩き殺して 鍋に入れ、囲炉裏でぐつぐつ煮て がつがつ食べてしまった。
・畑から帰って来たじいさまに ばあさまに化けた狸が 狸汁 を勧めた。
・じいさまが鍋のふたを開けると中には白い骨があるだけだった。
・じいさまが何かと尋ねると、ばあさまに化けた狸は「ばあさんは、わしの奥歯に引っ掛かって泣いてるだぁ」と言って逃げて行く。
・秋になり、実った粟を刈らないじいさまの様子を心配したうさぎが尋ねると、じいさまは 一緒に食べるばあさまは狸に食われてもういない、と応える。
・うさぎは黙って帰って行き、あくる日、かや山でかやを刈っていた。すると狸が来て、理由を尋ねた。
・この冬は寒いそうなので寒さよけにするのだ、と聞いた狸は 寒いのは自分も嫌だ。と、うさぎの刈ったかやを一本残らず奪い取って担いで行った。
・後ろからうさぎが火打石でかやに火を点けた。
・「カチカチ言うのは何の音だね?」と尋ねた狸に「ここはカチカチ鳥が鳴くかちかち山だよ。」うさぎは答える。
・やがて、かやが燃え上がると、尋ねる狸に「ここは ぼうぼう鳥ともんもん鳥のいるぼうぼう山だよ。」うさぎは答えながら逃げて行った。
・あくる日、うさぎが味噌と唐辛子を混ぜてからし味噌を作っている所へ狸がやって来て、昨日の出来事を怒りながら飛びかかろうとした。
・しかし、うさぎはきょとんとして「かや山のうさぎはかや山のうさぎ。唐辛子山のうさぎは何も知らん。」と言った。
・狸は納得して、良い匂いの美味そうなものは何か と尋ね、うさぎは食べ物ではなく火傷の薬だと伝える。
・「それなら、おれの身体に全部塗れ」と自分の背中を突き出す狸の体中にうさぎはからし味噌をごしごしすり込んだ。
・狸は痛くてわあわあ泣いて逃げて行き、痛くて朝までひいひい泣いていた。
・あくる日、うさぎを懲らしめてやろうと探し回っていると、杉山の方から木を切る音がして来たので行ってみると うさぎが杉の木を切り倒していた。
・狸は怒って飛び掛って来たが「唐辛子山のうさぎは唐辛子山のうさぎ。杉山のうさぎは何も知らん。」と言い、狸は納得する。
・狸はうさぎに杉の木で何を作るのかと尋ね、うさぎは待ってましたとばかり、舟を作って池に浮かべ魚を取って喰うんだ と答える。
・狸は池の魚が食いたくて木の舟を奪おうとしたが、うさぎは狸に泥の舟を作るように勧め、狸は大急ぎで泥舟を作った。
・やがて、木の舟と泥の舟は池に漕ぎ出し、池の真ん中辺りでは狸は魚取りに夢中で自分の舟が水に溶けて行くのも分からない。
・うさぎは魚も取らず 歌いながら逃げて行き、狸は池の底に沈んでしまった。
・あくる日、じいさまがいつものようにぼんやりしているとうさぎが菜っ葉を貰いに来て「じいさまの畑はよく実る。悪い狸は池の底。ばあさまお空で見てござる。」と歌った。
・じいさまはその歌を聞くと、身体に力が湧いて来て、バッサリ粟を刈り始めた。
 まあみ評 とにかく、田島征三さんの絵が力強く、インパクトがある。
うさぎが何故おじいさんを助けて狸を懲らしめるのか、うさぎと狸の性格の違いなど最初の部分で説明している。
うりの実を食べる狸は他にはないと思う。また、ガッカリして寝込んでしまったおじいさんと木の切り株におばあさんが松やにを塗るという展開も他には見られない。
狸がおばあさんを殺す場面の絵はそれほどでもないが、ぐつぐつ煮て食べてしまった骨が鍋に一杯入っている場面は思わずぎょっとしてしまう。
その後のうさぎと狸のやり取りの中で、狸が背中に大火傷を負っている絵やその傷にからし味噌をうさぎに塗られ、どんどんひどくなって行く火傷の傷あと・・・本当に大迫力で絵本だと思って見ていても痛々しい。
狸が泥舟に乗り、魚取りに夢中になって魚を握り締めながら溺れている場面もこの狸らしい味がある。
元気のないおじいさんをうさぎが励ます終結は、最初からのつながりを感じ、全体としてまとまっていると思う。


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